Q & A
インフルエンザワクチンについて
- 2015/08/17
- Q & A
インフルエンザワクチンについて
インフルエンザは初冬から春先にかけて流行するウイルス感染症です。ほとんどが自然治癒しますが、一部に中耳炎、肺炎、気管支炎、脳症、ライ症候群、心筋炎などの合併症を併発し、重症化することもあります。インフルエンザのワクチン接種により、かかりにくくなったり、重症化が抑制できるため接種する必要があると考えます。
・妊娠中、授乳中にワクチンの接種をしても大丈夫?
妊娠中、授乳中を通じてワクチンの接種は可能です。インフルエンザワクチンは病原性をなくしたウイルスの成分を用いているため実際にかかることはありません。また、催奇形性は認めず、母乳を介して乳児に悪影響を及ぼすことはありません。
ただし、接種するときの妊婦さんの体調に関しては、必ず産婦人科の先生に確認してください。
・いつから接種できますか?
ワクチン接種後1-2週間で抗体が上昇し始め、その効果は概ね3-4か月くらいです。流行が12月末から翌年の3月ごろのため、少なくとも12月中旬までに接種が完了することをおすすめします。当院では10月の中旬から下旬頃にワクチン接種を開始したいと思っています。
・何歳から接種できますか?
生後6か月から接種できます。6か月以上13歳未満は2回、13歳以上は1回または2回となっております。
13歳以上は抗体価の上昇に1回接種も2回接種も差がなかったことから1回接種となっていますが、最近インフルエンザにかかっていない、ワクチンも接種していない場合は2回接種の方がよいと思います。また、受験生などは念のために2回接種することも可能です。
・2回目の接種はどのくらいあけたらよいですか?
接種間隔は6か月以上13歳未満で2-4週間、13歳以上で1-4週間となっています。ワクチンの効果を高めるためには3-4週間あけることが望ましいです。
・1歳未満の接種は効果が期待できるの?
乳幼児期の有効性については20~50%と報告によって様々です。重症化を予防するために接種したほうが良いと思いますし、翌年のワクチンの効果も高められる可能性もあるため接種をおすすめします。
・卵アレルギーがありますが接種できますか?
インフルエンザのワクチンはウイルスの増殖に鶏卵が使用されているため、鶏卵の成分がわずかに含まれています。ただし、精製によってその量はごく微量であり、アレルギー反応を起こす可能性は極めて低いため、卵アレルギーのお子さんでも接種は可能と考えます。アナフィラキシーを起こしたことがあるお子さんでも接種できることが多いため、一度ご相談ください。
・インフルエンザ脳症について
インフルエンザ感染後の過剰な免疫反応による症状と考えられており、けいれん、意識障害、異常行動などの神経症状を伴います。急激に進行し発熱してから24時間以内に起こることがほとんどです。医療の進歩により致命率は低下してきていますが、約25%に後遺症を残すといわれています。
インフルエンザ脳症の予防について
予防接種が唯一の予防だと思います。感染後の免疫反応の異常と考えられており、急激に進行するため感染後の治療では発症の予防は期待できないと考えます。そのためにもワクチン接種が重要です。抗インフルエンザ薬は脳症の発症予防としては期待できないかもしれませんが、発熱期間を少なくすることはできるので感染後の治療としては必要だと思います。