アレルギー
スギ花粉症に対する舌下免疫療法について
- 2016/05/20
- アレルギー
スギ花粉症に対する舌下免疫療法について
スギ花粉症の鼻症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみがあります。また、眼症状(かゆみ、充血、流涙)、皮膚のかゆみ、眠気、咽頭症状(のどのかゆみ)、全身倦怠感などが伴うこともあります。
診断は問診が重要で、毎年、スギ花粉飛散時期にくしゃみ、鼻水、鼻づまりや目のかゆみなどがあり、日々の飛散状況により症状の増減が見られればほぼスギ花粉症と考えられます。それに皮膚テストや血液検査、鼻汁好酸球検査を行うことで確定します。
治療はアレルゲンの回避(マスク、眼鏡等)や内服薬、点眼薬、点鼻薬で行います。それ以外に手術療法や免疫療法も行われております。最近では後述する舌下免疫療法といった体質改善を目指す治療も行われる様になりました。
アレルゲン免疫療法
免疫療法には皮下免疫療法と舌下免疫療法の2種類があります。皮下免疫療法は注射による方法で、舌下免疫療法は舌の下にエキスを投与する方法です。当院では舌下免疫療法を行っていますので、それについてご説明します。
【舌下免疫療法】
アレルギーの原因となるスギ花粉のエキスをごく少量から舌の下に投与し、少しずつ量を増やしていき、アレルギーが起きないように体を慣らしていき、症状をやわらげる方法です。
<対象者>
12歳以上のスギ花粉症の方で、皮膚テスト、血液検査、鼻汁好酸球検査等で診断を受けている方が対象です。当院では血液検査を行います。
※平成30年6月下旬に年齢制限のない舌下錠:シダキュア(舌下で溶けるタイプの錠剤)が発売されます。ただし、発売されてから1年間は2週間処方になりますのでご注意ください。
※重症の気管支喘息がある場合や自己免疫性疾患、免疫不全症の方などは本剤の投与により悪影響を及ぼす可能性があるためできないことがあります。
※保険診療で行うことができます。
<治療法>
『シダトレン』は舌の下に2分間保持し、その後飲み込みます。2週間かけて徐々に増量し、維持量になったら3~5年継続します。
『シダキュア』は舌の下に1分間保持し、その後の見込みます。低用量を1週間続け、2週目以降は維持量を3~5年継続します。
その後5分間はうがい、飲食は控えて下さい。
投与後2時間は激しい運動、アルコール摂取、入浴は避けて下さい。
<開始時期>
花粉の飛散していない時期に開始します。スギ花粉の飛散期は飛散時期にはスギ花粉に対する過敏性が高まっている場合が多く、副作用が発現しやすいと考えられています。飛散期が過ぎた6月ごろから開始します。遅くても飛散期の3ヶ月以上前から(11月いっぱいまでに)治療を開始したほうが良いと考えます。
<有効性>
スギ花粉の場合70%前後の有効性が認められています。
3年以上治療を続けられ方で、治療終了4-5年後の追跡調査において80-90%程度の効果の持続が認められました。
<適応外>
β-阻害薬内服中の方
不安定な気管支喘息の患者
全身ステロイド内服中、抗がん剤を使用している患者
治療開始時に妊娠している方
急性感染症に罹患している時
自己免疫性疾患の合併や既往、または濃厚な家族歴を有する患者