つぶやき
リレンザ
- 2017/02/16
- つぶやき
先日インフルエンザウイルス感染後にリレンザを服用して転落死したとの報道がありました。とてもとても悲しい出来事です。私にも子供がおりますので他人事ではありません。ご冥福をお祈りするとともに、このようなことがないことを切に願います。
ここで抗インフルエンザ薬についての考えを述べたいと思います。
以前にもタミフル内服後に異常行動を起こして転落死をした例があり、タミフルの副作用が疑われました。その結果、2007年より10歳以上の未成年者へのタミフル処方が、原則差し控えられるようになりました。
では、この異常行動が本当に抗インフルエンザ薬の副作用なのでしょうか?
結論から言うとわかりません。それを証明することができないからです。タミフルの時も使用の有無によって異常行動が増えたのかを統計学的に検討されましたが、有意な差が見られませんでした。つまりインフルエンザに罹患すると、タミフルを服用していなくても異常行動を起こす可能性があるのです。以前から私たちはインフルエンザに罹患後の熱せん妄(急に起き上がり大声で叫んだり、走り回ったり、支離滅裂な話を始めたりする)をよく経験しました。むしろそういった症状の時は、よくインフルエンザを疑いました。そのためこの結果を見たときにインフルエンザの症状として考えれば納得できる結果でした。しかしながら結果としてはタミフルの使用制限がかかるようになりました。これは前述通り、因果関係を明確に証明することができないからです。その後も調査がつづけられており、2016年の厚生労働省の医薬品等安全対策部会安全対策調査会の報告では、抗インフルエンザ薬の服用なしにおける重度の異常行動の発症率は、タミフル・リレンザ・イナビル服用例よりも有意に高いことが示されました。つまり、服用していた方が異常行動のリスクが下がるかもしれないとのことでした。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000142736.pdf
もちろん、この結果だけでは残念ながら抗インフルエンザ薬は安全だとは言えません。
何が言いたいかというと、
インフルエンザに罹患すると、服用の有無にかかわらず、異常行動を起こすことがある。
重大な事故を防ぐためには罹患後2日間はひとりにしないこと。
これが大事だと思います。
今回の事件でリレンザまで使用制限されてしまうことは避けたいところです。